喫煙と尋常性乾癬の関係性について|ふるかわ皮ふ科・形成外科クリニック|西宮の皮膚科、形成外科、アレルギー科、美容皮膚科、美容外科

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医療コラム

喫煙と尋常性乾癬の関係性について|ふるかわ皮ふ科・形成外科クリニック|西宮の皮膚科、形成外科、アレルギー科、美容皮膚科、美容外科

喫煙と尋常性乾癬の関係性について

喫煙はいろいろな診療科で悪者ですが、もちろん、皮膚科でも喫煙により発症・悪化する疾患はいろいろあります。例えば、代表的なものに、喫煙により尋常性乾癬(psoriasis)を発症・悪化する可能性があると以前から言われているのは、周知の事実です。尋常性乾癬とは、皮膚に赤いぶつぶつが境界明瞭に多発して、痒みや鱗屑も伴い、悪化すると皮膚以外にもいろいろな病気を併発する生活習慣病の側面をもつ皮膚病です。喫煙以外にも、肥満、飲酒、ストレス、食生活、睡眠などの要因で発症・悪化することが有りますが、今回は喫煙と乾癬の関係性について述べたいと思います。

 

尋常性乾癬とは、後天性の炎症性角化症です。症状は、外界より機械的刺激を受けやすい頭皮、肘、臀部、下腿前面に帽針頭大の紅色の小丘疹が散在性に生じます(pin point lesion)。¹⁾(図:参照)これが本症の初発疹と考えられています。²⁾

この発疹は、時とともに銀白色の鱗屑が付着した境界明瞭な紅斑になります。³⁾鱗屑は雲母のようです。⁴⁾経過中、掻くなどして外傷ができない限り、皮疹は乾燥しています。⁵⁾掻痒感は有っても軽度です。爪の変形混濁、天井陥凹といった症状も見られます。⁶⁾

 

喫煙は何も良いことがないと私は考えます。受動喫煙といったような問題もありますし、他人にも迷惑をかけるものなので、煙草とは関わらないことをお勧めします。煙草のない未来を期待します。以下に関連論文を載せています。

 

1985 年の横断研究において,喫煙によって乾癬のリスクは上昇する可能性が指摘された。⁷⁾その研究を皮切りに,喫煙と乾癬リスクについての疫学研究が行われ,非喫煙者と比較して喫煙者は乾癬のリスクが上昇するが,過去の喫煙者も乾癬のリスクは上昇することが指摘されている。⁸⁾また,喫煙期間が長期になり喫煙量が増加すると乾癬の発症リスクが上昇する。⁹⁾ 喫煙と乾癬のリスクについて詳細なメカニズムは現時点では不明な点が多いが,ニコチンは乾癬にとって増悪因子ではないかと考えられている。¹⁰⁾ニコチンが炎症性サイトカインを誘導,血管新生増加,ケラチノサイトの増殖を誘導するという効果が知られている。¹¹⁾さらに,喫煙により末梢血中のIL-17 産生細胞が増加することが知られている。喫煙は末梢血のみならず,脾臓や肺においてもTh17 細胞を増加することが知られているため,喫煙により皮膚に存在するIL-17産生細胞が増加する可能性が考えられる。¹²⁾したがって,ニコチンによる炎症増悪作用に加えてTh17 細胞の活性化を介して,喫煙は乾癬の増悪に働いていると考えられる。¹³⁾

 

■参照

図) STEP 皮膚科 第3p171

1)6) STEP 皮膚科 第3p171

7)-13) J UOEH(産業医科大学雑誌)401 : 77822018

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